人材派遣業の仕組み
ここでは、派遣社員とパート・アルバイトの違いについて説明したいと思います。
派遣社員という働き方とパート・アルバイトという働き方では様々な点で異なるのですが、派遣もパート・アルバイトも同じ時給制であることが多く、はっきりとした違いが分からない方も多いのではないかと思います。
派遣社員とパート・アルバイトのもっとも大きな違いは、下記となります。
- パート・アルバイトは直接雇用であるのに対して、派遣社員は間接雇用
- パート・アルバイトは面接ができるのに対し、派遣社員は面接ができない
- パート・アルバイトは簡単に解雇できないが、派遣社員は契約期間終了で雇用契約を終えられる
それぞれの項目について詳しく説明していきます。
パート・アルバイトは直接雇用であるのに対して、派遣社員は間接雇用
パート・アルバイトと派遣社員のもっとも大きな違いは、雇用主が異なるという点です。
パート・アルバイトの場合は正社員と同様に、働く企業と直接雇用契約を結ぶのに対して、派遣社員の場合は派遣会社と雇用契約を結び、実際に働く派遣先の企業とは直接的には雇用契約を結びません。
そのため、正社員やパート・アルバイトの「直接雇用」に対して、このような派遣社員の雇用契約は「間接雇用」と呼ばれています。
パート・アルバイトは給料も働いている企業から直接支払われますが、派遣社員の場合には給料は派遣会社から支払われます。
パート・アルバイトは面接ができるのに対し、派遣社員は面接ができない
パート・アルバイトとして採用される際には、企業側が面接をすることが許可されていますが、派遣社員を受け入れる場合、企業は原則として就業前の派遣スタッフの面接は禁じられています。
しかし、派遣社員を受け入れる企業としても、本音としては就業前に派遣されるスタッフがどのような人物かを見定めて、自社に適した人材かどうかを見極めたいと考えるのが一般的です。
そのため、実情としては「事前顔合わせ」や「職場見学」といった体裁をとったうえで、派遣スタッフの事実上の面接が行われているという指摘もあります。
平成24年10月より施行されている改正派遣法では、紹介予定派遣については就業前のスタッフに対して履歴書の送付を依頼したり、事前に面接することが可能となりました。
パート・アルバイトは簡単に解雇できないが、派遣社員は契約期間終了で雇用契約を終えられる
これは意外と知られていないのですが、法律的な観点から考えると、パート・アルバイトの場合でも、正社員と同じように企業が自社の都合でスタッフを解雇することはそう簡単なことではありません。
事前解雇予告など手続きに関する難易度はもちろんのことですが、解雇事由についても正社員と同様に相応の事由がない限り、パート・アルバイトといえども企業はそう簡単に解雇することはできないのです。
しかしながら、派遣社員の場合は、契約期間つきの有期雇用であるため、契約期間の終了時に更新手続きをとらなければ、その段階で企業はその派遣社員を雇用する義務はなくなります。
契約期間の終了は正確には解雇とは違いますが、働く社員の立場からしてみると、その日からその企業で働くことができなくなるという点では同じです。
そのため、雇用の安定性という観点で考えると、パート・アルバイトよりは派遣社員のほうがまだ安定しているという認識はあまり正しくありません。
もちろん、派遣社員の場合でも契約期間中に企業が解雇することは簡単にはできませんが、パート・アルバイトとは違って契約期間つきの有期雇用であり、契約が更新されないというリスクはいつでも存在しているということは十分に理解しておく必要があります。
まとめ
上記が、パート・アルバイトと派遣社員の主たる違いでした。パート・アルバイトと派遣社員では、働き方が似ているようで実は大きく異なります。
ぜひ両者の違いを正しく理解して、自分にフィットした働き方を選びましょう。
また、最近ではパートタイム形式で派遣社員として働く「パートタイム型派遣」というパートと派遣の中間のような形態も出てきており、家事や育児も忙しく、収入も扶養枠内に抑えたい主婦の方々を中心に新しい派遣の形として人気を集めています。
パートタイム型派遣については、下記のページを参考にしてください。