派遣社員の健康保険
ここでは、派遣社員の健康保険について説明していきます。
健康保険とは?
健康保険とは、病気や怪我により病院にかかる必要性が出てきたときに、医療費の自己負担が軽減される医療保険制度のことを指します。
病院やクリニックでは保険証を提示することで医療費が大幅に安くなり、逆に健康保険の対象外となる治療に関しては高額な治療費がかかることもあります。
皆さんにとっては一番身近な保険だと言えるのではないでしょうか?
健康保険には、下記の3つの保険制度あります。
- 政府管掌健康保険
- 健康保険組合
- 国民健康保険
政府管掌健康保険
政府管掌健康保険は、社会保険庁が運営する健康保険制度で、一定の条件を満たす人は加入する義務があります。保険証の発行者は社会保険事務所になります。
健康保険組合
健康保険は、会社や業界団体が自社の社員のために独自に運営している健康保険制度のことを指します。保険証の発行者は健康保険組合になります。
派遣社員の健康保険については、通称「はけんけんぽ」と呼ばれる「人材派遣健康保険組合」が存在しており、派遣社員として働く方々の多くが「はけんけんぽ」に加入しています。
「はけんけんぽ」は、派遣という短期・断続就労でも安定して保険の適用ができるように配慮された保険制度であり、派遣社員として働く方々のための保険制度です。
登録型の一般派遣の場合、就業条件がまちまちで加入と喪失を繰り返すため、保険加入の手続きを怠る派遣会社も多くありました。
そうした法律違反をなくし、派遣スタッフの社会保険加入を促進するためにできたのが「はけんけんぽ」なのです。「はけんけんぽ」には、待機期間が1ヵ月以上の場合でも任意で保険を継続できるという特例措置があり、最初の2ヵ月間の保険料が引き下げられます。
そのため、その間は安心して次の仕事を探すことができるというメリットがあります。
このように「はけんけんぽ」は政府管掌健康保険よりも保険料が安く、メリットがあるので多くの方々が加入しています。
国民健康保険
国民健康保険は市町村が運営する健康保険制度で、上記の健康保険に加入していない人は、必ず加入する必要があります。保険証の発行者は市町村になります。
健康保険の加入資格
下記の条件を満たす方の場合は、派遣社員であっても健康保険に加入する義務があり、強制加入となります。
- 2ヶ月を超える雇用契約
- 1日、または1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が共に通常正社員の4分の3以上(一般的に週4日以上、週30時間程度)
派遣社員の健康保険の加入状況
派遣社員として働く方々の健康保険の加入状況としては、ほとんどが下記のいずれかに当てはまります。
- 派遣会社の健康保険に自分名義で加入している
- 「はけんけんぽ」に加入している
実際の加入状況に関する調査結果としては、下記のようになっています。
健康保険には加入していますか(いましたか)?

(注)1日又は1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が、その事業所で同種の業務を行う通常の労働者の概ね4分の3以上である場合は、原則として健康保険及び厚生年金保険の被保険者とされている。そのため、被保険者の適用除外となる「2ヵ月以内」及び労働時間等が4分の3基準に達しない「1日6時間未満」・「月16日未満」の就労状況の者を除いた。
(※一般社団法人日本人材派遣協会 2011年度「派遣スタッフWebアンケート(調査結果)」より引用。)
上記のアンケートデータによれば、派遣社員として働く方々のうち、全体の6割が「はけんけんぽ」を利用しており、残りの4割が派遣会社の健康保険に加入していることが分かります。
大手の派遣会社の場合は自社の健康保険組合に加入させているケースが特に多くなります。
派遣会社の健康保険か「はけんけんぽ」のいずれかに加入している方々の割合は平成23年度で97.5%となっており、ほとんどの方はしっかりと健康保険に加入できていることが分かります。