派遣社員と就業条件について
派遣社員は、雇用契約を結ぶのは派遣元となる派遣会社でありながら、実際に勤務し、指揮命令を受けるのは派遣先の会社という、いわば二重の管理をされている特殊な就業形態となります。
初めて派遣社員として働く方々の中で良く出てくる疑問の1つが、派遣社員は派遣元となる派遣会社と、派遣先企業のどちらの就業条件が適用されるのか、という疑問です。
実際、派遣社員の就業条件は誰が決めており、どちらの企業の規則が適用されるのでしょうか?
派遣社員の就業条件の規定
派遣社員の就業条件は、実態に応じて派遣会社と派遣先企業の両者間で人材派遣の契約を締結する際に決められます。
一般的には、派遣会社と派遣先企業による就業条件の規定は、下記のように分けられています。
派遣会社の責任、または派遣会社の規定に従うもの
- 最低週1回の休日
- 公民権
- 育児時間
- 生理休暇
- 年次有給休暇
- 産前産後休暇
- 時間外労働
- 休日労働
有給休暇や生理休暇、産前産後休暇などは、派遣会社の規定に従います。そのため、派遣会社に登録する際にはこのあたりの休暇制度がしっかりと充実させているかをしっかりと確認する必要があります。
また、法定労働時間を超えての労働を派遣社員に依頼する場合には、派遣会社は「時間外・休日労働に関する協定」を労働者代表と締結した上で、労働基準監督署へ届け出る義務があります。
派遣先企業の規定に従うもの
- 就業規則
- 労働時間
- 休日
- 休憩時間
就業規則については、派遣先企業のルールに従うことになります。出社時間や労働時間、休憩時間などについても、派遣先企業のルールに従って勤務する形となります。
派遣社員を保護する義務
上記のように、派遣会社と派遣先企業はそれぞれ派遣社員に対して就業条件の規定をしています。
派遣会社は、上記のような規定に基づいて、派遣先企業では派遣契約が守られているか、派遣社員の就業状況は規定に準じているか、規定を超えた労働の実態がないかなどを定期的に確認し、派遣社員の権利を保護する義務を負っています。
特に派遣先企業が派遣社員の導入に慣れていない場合や、初めて派遣社員を活用する場合などは、これらの就業条件の規定や運用があいまいになりがちで、結果として派遣社員と派遣会社、派遣先企業の三者間でトラブルになってしまうことも少なくありません。
派遣会社に登録後、就業先が決まったら、就業条件や規定については事前にしっかりと確認しておき、派遣会社と派遣先企業の双方で派遣スタッフの権利を保護するという共通の認識を持っているかどうかを見極めるようにしましょう。